「ご入居者様から騒音の相談を受けたが、何を確認すれば良いかわからない」
「管理会社として、どこまで対応すべきか判断が難しい」
集合住宅では、足音や話し声、テレビ、楽器などの生活音をきっかけに、騒音トラブルが発生することがあります。
実際に、レプリスの相談窓口へ寄せられた相談の69%が、騒音に関する内容でした。騒音は発生源の特定が難しく、当事者同士で直接やり取りをすると、感情的な対立へ発展するおそれがあります。
管理会社様やオーナー様には、相談内容を丁寧に聞き取り、状況に応じて段階的に対応することが求められます。また、入居時から生活音への配慮や相談先を案内しておくことで、トラブルの予防にもつながります。
本記事では、騒音トラブルに発展しやすいケース、避けるべき行動、相談を受けた際の確認事項、未然に防ぐための対策をご紹介します。
【要注意】騒音トラブルに発展しやすいケース
騒音トラブルに発展しやすい代表的なケースは、次のとおりです。
- 大人数での集まりによる話し声や音楽
- 上層階から伝わる足音や物音
- ピアノなどの楽器演奏
- テレビや音響機器の音量
同じ音でも、建物の構造や発生する時間帯、周囲の生活リズムによって受け止め方は変わります。
「音が大きいか」だけではなく、「いつ・どのくらいの頻度で・どのような音が続いているか」を確認することが、対応を検討するうえでの基本です。
①大人数での集まり
友人や家族を招いたパーティーや飲み会では、参加者が増えるほど話し声や笑い声、音楽の音量が大きくなりやすくなります。集まりが深夜まで続けば、周囲のご入居者様の睡眠を妨げる可能性もあります。
ご入居者様へは、来客時に窓や玄関ドアを閉めること、夜間は声量や音楽の音量を抑えることなどを、入居時や定期的な案内で伝えておきましょう。
②上層階からの足音
子どもが走る音、椅子を引く音、物を落とした音などは、床や壁を通じて下階や隣接住戸へ伝わることがあります。特に、在宅勤務中や乳幼児の寝かしつけ中、深夜や早朝は、生活音が負担になりやすい時間帯です。
一方で、生活時間帯の違いが原因となっている場合もあります。夜勤の方や早朝に出勤する方など、生活リズムはご入居者様ごとに異なります。
管理会社様やオーナー様は、一方の主張だけで判断せず、発生時間や頻度を確認したうえで、防音マットの活用や生活時間帯への配慮を案内しましょう。
③ピアノなどの楽器
ピアノやギターなどの楽器は、演奏音だけでなく、床や壁へ伝わる振動がトラブルの原因になることがあります。
楽器演奏の可否や演奏可能な時間帯は、管理規約や賃貸借契約の内容を確認し、入居時に明確に伝えることが大切です。演奏が認められている場合でも、長時間の演奏を避ける、ヘッドフォンを使用する、防音対策を行うなどの配慮を案内しましょう。
④テレビや音楽の音量
テレビやスピーカーを壁際へ設置すると、音や振動が壁、テレビ台、床を通じて隣接住戸へ伝わる場合があります。ご本人が適切な音量だと思っていても、周囲には大きく聞こえていることがあります。
テレビやスピーカーを壁から離す、防振マットを敷く、夜間はイヤホンを使用するなど、設備の配置や使い方を工夫することで音漏れを抑えられます。
【管理会社様・オーナー様必見】絶対に避けるべき対処法
騒音トラブルは、対応方法を誤ると住民同士の対立が深まり、嫌がらせや警察への通報など、別のトラブルへ発展するおそれがあります。
ご入居者様には、次のような行動を避けるよう、入居時や定期的な案内で周知しておきましょう。
- 騒音元と思われる相手へ直接苦情を伝える
- 壁や床を叩いて応戦する
当事者同士が直接接触する
騒音が続くと、相手へ直接苦情を伝えたくなることがあります。しかし、当事者同士の話し合いは感情的になりやすく、言い争いや報復行為につながる可能性があります。
また、音が別の住戸から伝わっていた場合、関係のないご入居者様へ苦情を伝えてしまうこともあります。
騒音元が特定できていない段階では、当事者同士を直接接触させず、管理会社様やオーナー様が相談を受ける形にしてください。
壁や床を叩いて応戦する
騒音に気づいてもらうため、壁や床を叩く方もいます。しかし、相手を挑発し、状況を悪化させるきっかけになるため避けるべきです。
応戦する音が新たな騒音となり、周囲の住戸から別の苦情が寄せられることもあります。ご入居者様には、壁や床を叩かず、音が発生した日時や種類を記録したうえで相談するよう案内しましょう。
騒音トラブルを悪化させない正しい対処法とは
騒音相談を受けた際は、すぐに一方を騒音元と決めつけるのではなく、事実関係と緊急性を確認しながら段階的に対応します。
対応が遅れると、相談者の不安や管理会社様への不信感が強くなる場合があります。一方で、確認が不十分なまま個別注意を行うと、別のトラブルを招くことがあります。
まずは記録と聞き取りを行い、建物全体への注意喚起、個別対応、専門機関への相談という順で進めましょう。
- 管理会社様やオーナー様が一次対応する
- 自治体や警察へ相談する
- 民間の専門サービスを利用する
①管理会社様やオーナー様が一次対応する
最初に、相談者から音の種類、発生日時、頻度、継続期間、聞こえる方向などを確認します。可能であれば、日時を記録してもらいましょう。
音源が特定できない段階では、特定の住戸を名指しせず、建物全体への掲示や文書配布で注意喚起を行います。改善が見られず、複数の情報から音源が絞り込めた場合は、相手を責める表現を避けながら個別に状況を確認します。
騒音を理由とする契約解除や退去請求は、事実関係や程度の判断が難しいため、早い段階で結論を出さず、記録を残しながら対応してください。
②自治体や警察へ相談する
身の危険を感じる行為、暴力や脅迫、深夜の著しい騒音など、緊急性や事件性がある場合は警察への相談を検討します。緊急性が高い場合は110番、緊急ではない相談は警察相談専用電話など、状況に応じた窓口を案内します。
継続的な生活騒音については、自治体の公害・騒音相談窓口へ相談できる場合があります。窓口へ相談する際も、発生日時や音の種類などの記録が判断材料になります。
③民間の専門サービスを利用する
子どもの足音や話し声など、事件性はないものの、管理会社様やオーナー様だけでは対応方針を判断しにくい相談もあります。
そのような場合は、近隣トラブルに関する相談窓口を持つ民間サービスの活用も選択肢です。専門相談員が状況を聞き取り、相談者へ初期対応や防犯上の注意点を案内することで、当事者間の直接接触を避けながら対応を進められます。
騒音について相談された時に確認したいこと
騒音の感じ方には個人差があります。また、建物内では音が壁や床、配管などを通じて伝わるため、聞こえる方向と実際の発生源が一致しないこともあります。
相談を受けた際は、感情的な訴えだけで判断せず、次の項目を確認しましょう。
- どのような音か
- いつ、どのくらいの頻度で発生するか
- いつ頃から続いているか
- どの方向から聞こえるか
- これまでに相手へ直接連絡していないか
- 睡眠や仕事など、生活にどのような影響があるか
- 相談者がどのような対応を希望しているか
音源を決めつけず、「日時・頻度・音の種類・聞こえる方向」を記録することが、対応方針を決める第一歩です。
録音や測定結果がある場合も、それだけで騒音元や責任を確定できるとは限りません。ほかのご入居者様からの相談状況や建物の構造も含めて確認してください。
相談後の具体的な対応手順については、関連記事
【管理会社様向け】騒音トラブルの解決方法とは?アパート・マンションでの対策も紹介
でも詳しく解説しています。
騒音トラブルを未然に防ぐための対策
騒音トラブルを完全に防ぐことは難しいものの、入居前から生活音への配慮や相談方法を伝えておくことで、トラブルの発生や深刻化を抑えられます。
管理会社様やオーナー様が取り組める主な対策は、次のとおりです。
- 防音グッズの活用を案内する
- 近隣トラブルの相談窓口を設ける
- 生活ルールと相談方法を定期的に周知する
①防音グッズの活用を案内する
子どもの足音や椅子を引く音など、床を通じて伝わる生活音には、防音マットや厚手のカーペット、防振材などが役立つ場合があります。テレビやスピーカーの音には、壁から距離を取る、防振マットを敷く、夜間はイヤホンを使用するなどの対策があります。
管理会社様やオーナー様から、入居時や掲示物で具体的な対策例を案内すると、ご入居者様も行動に移しやすくなります。
②近隣トラブルの相談窓口を設ける
「まだ苦情を入れるほどではない」「誰に相談すればよいかわからない」という段階で相談できる窓口があると、当事者同士の直接接触や応戦行為を防ぎやすくなります。
相談窓口では、状況の聞き取り、初期対応の案内、防犯上の注意、必要に応じた専門家や関係機関の案内などを行います。
相談先を入居時に明示しておくことは、トラブル発生後の対応を早めるだけでなく、ご入居者様の安心にもつながります。
③生活ルールと相談方法を定期的に周知する
入居時には、夜間の生活音、楽器演奏、来客時の配慮、テレビや洗濯機の使用時間など、物件ごとのルールを具体的に案内しましょう。
また、掲示物や文書を使って、定期的に生活音への配慮を呼びかける方法もあります。その際は、特定のご入居者様を責める内容ではなく、建物全体へのお願いとして案内します。
住民同士の交流を促す取り組みも選択肢ですが、参加を負担に感じる方もいます。無理に交流を求めるのではなく、まずは相談先と生活ルールをわかりやすく伝えることから始めましょう。
トラブルが深刻化する前にレプリスの「近隣トラブル解決支援サービス」
レプリスの「近隣トラブル解決支援サービス」は、マンションや賃貸住宅で発生する近隣トラブルについて、ご入居者様が専門相談員へ相談できるサービスです。
元警察官などの専門相談員が状況を伺い、解決に向けたアドバイスや防犯指導を行います。トラブルの内容に応じて、行政窓口や専門家、関係機関をご案内することも可能です。
また、一定の条件を満たす場合には、生活再建に必要な転居費用の一部をサポートする仕組みも設けています。
サービスの主な内容は、次のとおりです。
- 元警察官などの専門相談員へ相談できる窓口
- トラブルの状況に応じたアドバイスや防犯指導
- 専門家や関係機関の案内
- 一定の条件を満たす場合の生活再建費用のサポート
管理会社様やオーナー様だけで判断しにくい相談を、専門相談員につなげられるため、対応の属人化や担当者様の負担を抑えられます。
騒音トラブルは、相談者の不安を受け止めながら、事実関係を整理して段階的に対応する必要があります。入居時から相談先を整えておくことで、ご入居者様が当事者へ直接連絡する前に、適切な窓口へ相談しやすくなります。
近隣トラブルへの対応体制を見直したい管理会社様・不動産会社様は、サービスの詳細をご確認ください。










