マンションやアパートなどの共同住宅では、足音やテレビの音、洗濯機の使用音などをきっかけに、騒音トラブルが起こることがあります。
ご入居者様から騒音について相談を受けた際、管理会社様として悩みやすいのが、「どのような内容で注意文を出せばよいのか」「どの段階で警告文に切り替えるべきか」といった対応ではないでしょうか。
騒音の注意文や警告文では、確認できている事実を具体的に伝えながら、状況に応じて内容を調整することが大切です。
一方で、発生元を確認できていない段階で断定したり、必要以上に厳しい表現を使ったりすると、ご入居者様の反発や新たなトラブルにつながる可能性もあります。
そのため、初回の注意、再発時の案内、改善が見られない場合の警告など、状況やこれまでの対応経緯に合わせて文面を使い分けることが重要です。
この記事では、騒音の注意文や警告文を出すまでの流れや文章を作成するときのポイント、初回・再発・改善が見られない場合の状況別の例文を紹介します。
あわせて、注意文や警告文を作成する際に気をつけたいポイントについても解説します。
また、騒音トラブルは注意文や警告文を出しても改善せず、対応が長期化することがあります。ご入居者様同士の問題に発展するなど、管理会社様だけでの対応が難しくなった場合に備えて、相談できる窓口や対応方法をあらかじめ確認しておくことも大切です。
騒音をはじめとした近隣トラブルへの対応体制を検討されている管理会社様は、以下のページもあわせてご覧ください。
騒音トラブルに対応しないと管理会社様が抱えてしまうリスク
騒音の相談を受けたまま対応が進まないと、ご入居者様の不満が蓄積し、問題が長期化することがあります。
騒音の相談では、「すぐに解決できるか」だけでなく、相談を受けたあとに管理会社様がどのように確認・対応したかも大切です。
まずは状況を整理し、必要な対応を一つずつ進めていきましょう。
退去につながる可能性がある
騒音が続き、相談しても状況が変わらない状態が続くと、ご入居者様が退去を検討するきっかけになることがあります。
特に、深夜の足音やテレビの音など、睡眠や日常生活に影響する騒音は継続的なストレスになりやすいものです。
相談を受けた場合は、まず発生時間や音の種類、頻度などを確認し、できる範囲から対応を進めることが必要です。
物件や管理会社様への不満につながる
騒音そのものだけでなく、「相談したのに対応してもらえなかった」という不満が、物件や管理会社様への評価に影響することもあります。
すぐに原因を特定できない場合でも、現在確認している内容や今後の対応方針を相談者へ伝えておくことで、「何も対応してもらえていない」という認識を防ぎやすくなります。
専門家への相談や法的な対応が必要になる場合がある
注意や確認を繰り返しても騒音が続く場合や、ご入居者様同士の関係が悪化した場合には、専門家や関係機関への相談が必要になることがあります。
その段階になってから状況を整理しようとすると、過去の経緯を確認するのに時間がかかります。
苦情を受けた日時、騒音の内容、管理会社様が行った対応などは、その都度記録しておくと後の対応を進めやすくなります。
騒音の注意文や警告文を出すまでの流れ
騒音の相談を受けたからといって、すぐに特定のご入居者様へ強い警告文を出すのは避けたほうがよいでしょう。
音は建物の構造によって別の住戸から伝わっているように聞こえることもあり、相談者の認識だけでは発生元を特定できない場合があります。
注意文や警告文を出す前に、次の順番で状況を整理します。
①騒音トラブルの内容を把握する
最初に、ご入居者様からできるだけ具体的な状況を確認します。
確認したいのは、「いつ」「どのような音が」「どのくらい続いたか」「どの程度の頻度で発生しているか」といった内容です。
たとえば、「夜うるさい」という情報だけでは、管理会社様も適切な対応を判断しにくくなります。
「23時頃から30分ほど、上階から走るような足音が聞こえた」など、できるだけ事実を具体化しておきましょう。
②騒音の状況や発生元を確認する
相談内容を確認したあとは、本当にその住戸から騒音が発生しているのかを確認します。
ほかのご入居者様から同様の相談があるか、発生時間に共通点があるかなど、複数の情報を照らし合わせる方法もあります。
「苦情があった=その住戸が原因」と決めつけず、確認できた事実と推測を分けて整理することが大切です。
発生元を特定できていない段階では、特定の住戸を名指しせず、建物全体への注意喚起から始める方法もあります。
③状況に合った注意文・警告文を作成する
状況を確認できたら、問題の段階に合わせて文面を作成します。
初めて注意を促す場合は、まず生活音への配慮をお願いする「注意文」で周知します。
注意文を出したあとも同様の相談が続いている場合は、以前にも案内していることや、再度相談が寄せられていることを記載した「再度の注意文」を出します。
それでも改善が見られず、繰り返し騒音が確認されている場合は、これまでの案内経緯や改善を求める内容をより明確にした「警告文」へと段階を上げます。
騒音元が特定できない場合は掲示板への掲示や全戸配布、特定の住戸に繰り返し相談が寄せられている場合は個別の文書など、状況や対応の段階に応じて使い分けましょう。
騒音の注意文を作成するときのポイント
騒音の注意文では、「強い言葉を使うこと」と「伝わる文章にすること」は別です。
作成するときは、次の3点を意識しましょう。
①感情的な表現を使わず、事実を伝える
注意文を強くしたい場合でも、「迷惑です」「絶対にやめてください」といった感情的な表現から始めるのは避けましょう。
まずは、「夜間の生活音について複数のご相談が寄せられています」「以前ご案内した後も同様の相談が確認されています」など、管理会社様が確認している事実を記載します。
強い言葉で責めるのではなく、「何が起きているのか」を具体的に伝えるほうが、ご入居者様も改善すべき内容を理解しやすくなります。
②時間帯や音の種類を具体的にする
「騒音に注意してください」だけでは、ご入居者様が何を改善すればよいのか分かりません。
「22時以降のテレビ・音楽の音量」「深夜の洗濯機の使用」「扉の開閉音や足音」など、確認できている範囲で具体的に記載しましょう。
ただし、物件ごとに生活ルールは異なります。
一律に禁止事項として断定するのではなく、賃貸借契約書や管理規約、使用細則などを確認したうえで文面を作成することが必要です。
③入居時から生活ルールを伝えておく
騒音が発生してから注意するだけでなく、入居時から生活ルールを共有しておくこともトラブル防止につながります。
夜間・早朝の生活音、楽器の使用、洗濯機の使用時間など、物件で定めているルールがあれば、入居時に確認できる状態にしておきましょう。
あとから注意する場合も、「入居時に案内しているルール」として説明しやすくなります。
管理会社様の参考になる・騒音における注意文のテンプレート
騒音の注意文は、毎回同じ文章を送るのではなく、これまでの対応状況に合わせて内容を変えると伝わりやすくなります。
初回は「お願い」、再発時は「再度のお願い」、それでも改善が見られない場合は「警告」と、段階的に文面を明確にしていきましょう。
①初回の注意文
件名:生活騒音についてのお願い
ご入居者様各位
日頃より当物件の管理にご協力いただきありがとうございます。
最近、夜間の生活音についてご相談が寄せられております。
テレビ・音楽の音量、洗濯機の使用、扉の開閉音、足音などは、時間帯によって周囲のお部屋へ響く場合があります。
特に夜間・早朝は、周囲のご入居者様へのご配慮をお願いいたします。
なお、本件についてご不明な点がございましたら、管理会社までお問い合わせください。
②再発時の注意文
件名:生活騒音についての再度のお願い
ご入居者様各位
先日、生活騒音についてご案内いたしましたが、その後も同様のご相談が寄せられております。
特に〇時頃から〇時頃にかけて、〇〇の音について複数回のご相談を確認しております。
お心当たりがある場合は、改めて生活音へのご配慮をお願いいたします。
また、ご入居者様同士で直接注意することは、別のトラブルにつながる可能性があります。
本件についてのお問い合わせは、管理会社までお願いいたします。
③改善が見られない場合の警告文
件名:生活騒音について
ご入居者様へ
これまで生活騒音について複数回ご案内しておりますが、その後も同様のご相談が続いております。
〇月〇日、〇月〇日にも、〇時頃から〇時頃にかけて〇〇の音についてご相談が寄せられております。
共同住宅での生活ルールおよび当物件の賃貸借契約・管理規約等をご確認いただき、速やかな改善をお願いいたします。
今後も同様の状況が続く場合には、これまでの経緯を踏まえ、個別に対応方法を検討いたします。
本件についてのお問い合わせは、管理会社までお願いいたします。
【お問い合わせ先】
〇〇株式会社
TEL:〇〇〇〇-〇〇-〇〇〇〇
上記はあくまで文面例です。
物件ごとの賃貸借契約書や管理規約、これまでの対応状況に合わせて内容を調整してください。
また、ご入居者様同士で直接注意し合うと、騒音とは別のトラブルに発展する場合があります。
注意文には、当事者同士で直接やり取りせず、管理会社様の窓口へ連絡してもらう旨を記載しておくと安心です。
騒音の注意文を書くことのリスク
注意文は騒音対策に使える一方、書き方や掲示方法によっては新たなトラブルにつながることがあります。
特に、発生元を特定できていない段階で断定したり、ほかのご入居者様から対象住戸が推測できる内容を書いたりすることには注意が必要です。
①ご入居者様同士で犯人探しが起こる
建物全体へ注意文を掲示すると、「どの部屋のことだろう」とご入居者様同士で犯人探しが始まる場合があります。
具体的な部屋番号や、特定のご入居者様しか該当しない情報を掲示板へ記載するのは避けましょう。
対象住戸が分かっている場合は、全体掲示だけで済ませず、個別に連絡する方法も検討しましょう。
②騒音に対して過剰に反応するようになる
注意文をきっかけに、これまで気にならなかった生活音まで意識するようになるご入居者様もいます。
「騒音が発生しています」と断定するのではなく、「生活音について相談が寄せられています」など、確認できている事実の範囲で記載しましょう。
③退去につながる場合がある
注意文の対象となったご入居者様が、強く責められたと感じて退去を検討する可能性もあります。
反対に、相談した側が「何度伝えても改善されない」と感じて退去するケースも考えられます。
どちらか一方の主張だけで判断せず、確認した事実をもとに段階的に対応することが必要です。
④専門家への相談や費用が発生する場合がある
騒音問題が長期化し、当事者間の対立が深まると、管理会社様だけでは対応しにくくなることがあります。
その場合には、弁護士などの専門家や関係機関への相談が必要になるケースもあります。
注意文を出した日、相談内容、再発状況、その後の対応を記録しておくことで、次の対応を検討しやすくなります。
自社だけでの対応が難しい場合は「近隣トラブル解決支援サービス」の検討を
注意文を出しても騒音が収まらない場合や、双方の主張が食い違っている場合は、管理会社様だけで対応を続けることが難しくなることがあります。
また、ご入居者様同士が直接やり取りを始めると、騒音そのものとは別のトラブルへ発展する可能性もあります。
そのため、注意文を出すことだけでなく、「改善しなかった場合に誰へ相談するか」まであらかじめ決めておくことが、管理会社様の対応負担を抑えるうえでも大切です。
レプリスでは、こうしたご入居者様同士の問題に対応する「近隣トラブル解決支援サービス」を提供しています。
会員様専用の相談窓口を設け、元警察官などの専門相談員が状況に応じた相談・支援を行います。
日常的な生活ルールの周知や物件管理は管理会社様で行い、それだけでは解決しにくい騒音トラブルや、ご入居者様同士の問題へ発展した場合に専門の相談窓口を活用することで、管理会社様が対応を抱え続ける状況を減らしやすくなります。
注意文を何度出しても改善しない場合や、管理会社様だけで対応方針を決めにくい場合は、外部の相談窓口を活用する方法もご検討ください。
騒音トラブルは初期対応が重要
騒音の注意文を強めに書く場合でも、最初から厳しい言葉を並べる必要はありません。
初回は生活音への配慮をお願いし、再発時には発生時間やこれまでの案内経緯を具体的に伝え、それでも改善が見られない場合に物件ルールを踏まえた警告へ進む、という段階的な対応が大切です。
また、騒音の発生元を決めつけず、相談日時や音の種類、頻度などを記録しておくことで、その後の判断もしやすくなります。
注意文を出しても改善しない場合や、ご入居者様同士の対立に発展しそうな場合は、管理会社様だけで対応を抱え続けるのではなく、専門の相談窓口を利用する方法もあります。
レプリスの「近隣トラブル解決支援サービス」では、元警察官などの専門相談員が、騒音をはじめとした近隣トラブルについて相談・支援を行っています。
騒音対応の負担を見直したい場合や、自社での対応範囲を整理したい場合は、ぜひご相談ください。










